主催 Bunkamura キューブ
作・演出 ケラリーノ・サンドロビッチ
生瀬勝久 小出恵介 安倍なつみ 大蔵孝二 マギー 犬山イヌコ 山西惇 西岡徳馬 他
「ケラリーノ・サンドロビッチ作の「祈りと怪物」を作者のケラと蜷川幸雄を演出対決するという企画のケラ版」
(感 想) ケラリーノ・サンドロヴィッチの作・演出による、戯曲を先にケラ本人が演出し、次に蜷川幸雄が 演出するというコラボ企画。ケラさんの新作の戯曲とやはり、二人の演出家が同じ、新作物を演出するという 企画に乗せられてしまい、また、演出の勉強になっていいかな?という言い訳も含めて観劇。 上演時間は、2回の10分の休憩を含み、何と4時間10分という長尺です。しかし、間延びした場面や、 なくもがなの場面などはなく、退屈はしませんでしたし、充分に楽しめるないようでした。 物語は、海と火山に囲まれた小さな島の架空の町・ウィルヴィル。町を支配する、ドン・ガラス・エイモス (生瀬勝久)と彼の3人の娘、長女バララ(久世星佳)、次女テン(緒川たまき)、三女マチケ(安倍なつみ)、 そして、動物園の飼育員トビーアス(小出恵介)ら、エイモス家の支配から“ヒヨリ”と呼ばれ差別を受ける人びと。 また、町に流れ着いた、錬金術師(山西惇)や、密航者たち。それぞれに複雑な事情を抱えた人びとが 絡み合い、話は発展していく……。その独裁者の全盛時代から始まり、町に奇病が蔓延することから、 急激な没落に至り、路頭に迷う独裁者の姿が描かれて終わります。 全体としては、身分差別・殺人をなんとも思わない三姉妹、信仰をもてなくなった神父、錬金術師の 弟子の道化(大倉孝二)のライ麦粉で作った魔法の薬でどんどん欲望を充満させていく住民、 幾ら食べても満腹を感じなくなり、自分の孫の資産を食い尽くし、盗みまで強要する老人、道化の魔法で 死んだ息子の姿が、生きているように見えるようになったが結果見えない息子の子育てに失敗し、 "最後は消してしまう夫婦、これらの登場人物と彼らを取り巻く話はどこか非常に身近な、何かを表現している " 思います。ケラはこの御伽噺を通して現代日本の絶望的状況(ケラはそう感じているのか?)を 描き出そうとしたのだろうと思います。ただ、ウイルヴィルの三姉妹については描き出しが弱く、
何ゆえ、副題として添えてあるのか?疑問として残る内容であった。 役者はそれぞれにすばらしく、芝居に緊張感を与え、この長い芝居を飽きさせず見せていたと思う。 ただ、多くのコロスを使って、全体におどろおどろしい雰囲気を演出して見せたところは、小劇場出身の ケラの演出と言うよりは、蜷川さんぽくって、やはり意識したのかな?と感じさせる部分では有りました。 また、いつもながら、プロジェクション・マッピングいい雰囲気を出していました。
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