2012年12月13日木曜日

蜷川幸雄 トロイアの女たち

東京芸術劇場 2012/12/13 19:00

エウリピデス作 蜷川幸雄演出

東京芸術劇場 テルアビブ市立カメリシアター共同制作

白石加代子 和央ようか マフムード・アブ・ジャズイ オーラ・シュール・セレクター ラウダ・スリマン モティ・カッツ

日本人 アラブ人 ユダヤ人の三ヶ国語上演 ギリシャ悲劇を蜷川幸雄演出でとのことで、興味があり観劇したが、個人的には、チケットの値段を加味すると今年最低の芝居か?

内容は有名な「トロイの木馬」の奇襲作戦によってギリシャ軍に滅ぼされたトロイア町に残された女たちの悲惨な末路を描いた作品。

まず出だしの海の中からポセイドンが出てきて、アテナとトロイアを滅ぼした後、ギリシャ人が神を敬わなくなったと嘆くシーンで始まるが、海を模したおお布を舞台一面に張って荒れる海を表現しようとしているが、まるで、田舎芝居のような演出であり、ポセイドン・アテナの二人のやり取りの場面もまるで緊張感もなければ深遠さも感じられない、出だしからテンションが下がる。今日の芝居に対する期待がグーっト下がったが、この予感は正しかったと。

三ヶ国語で芝居を行っているが、ヘカベを演じた白石と日本人・アラブ人・ユダヤ人が同じ言葉を繰り返すため、芝居のテンポが悪く、いつまで経っても芝居の中へのめりこんで行くことが出来ない、テンポも悪く、応酬する言語も異なるため、芝居の中に緊張感が生まれない、それを、白石一人が気を吐いて、芝居を引っ張ろうとするが、白石自身の語りも全体の雰囲気から浮いてしまっており、これまた、ただ、おばちゃんがうるさくしゃべっているだけになってしまっている。また、日本人の役者は花柳・エレオノーラを除いて克舌が悪くもうひとつ聞きずらい、和央の語りにはリアリティがない、本当になにからなにまで残念な芝居でした。

唯一の救いはカッサンドラを演じたオーラ・シュール・セレクター、アンドロマケを演じたラウダ・スリマン、メネラオスを演じたモティ・カッツの演技がよかったことか。
あと、ユダヤ、アラブの役者たちにとって、戦火はまさしく現実であるのだろう、演技の随所にリアリティを感じた。

全体として、蜷川さんにとって挑戦的な演目だったのだろうが、3年間に渡る制作期間の中でどこかで緊張の糸が切れてしまったのかな?と感じられる芝居であった。

紛れもなく、私的には今年のワースト1!!!

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