2013年1月23日水曜日

タンホイザー

新国立劇場  2013/1/23


新国立劇場 協力:日本ワーグナー協会

指揮:コンスタンティン・トリンクス   演出:ハンス=ペーター・レーマン

クリスティン・ジグムンドソン スティー・アナセン ヨッヘン・クプファー ミーガン・ミラー            エレナ・ツイトコーワ 他



ワーグナー生誕200年を飾る 新国立 最初の作品

( 感 想 ) ワーグナー生誕200年ということで、今年はワーグナーが多く上演されるのだろうと思われるが、
あまりオペラに馴染みのない私にも聞きやすく、観ていて飽きない演目で「楽しめるな」というのが、第一印象。
 観劇日は初日であったが、入りは7~8割といったところか、タイトルロールの歌い手の変更もあったが、10ヶ月前
から発表しており、特に影響は無さそう。舞台装置は、パンフレット等にある通り、3幕とも極めてシンプル。
ヴェーヌスベルク(官能世界)とヴァルトブルク(精神世界)を同じ舞台装置を使い、いくらかの転換と光のつくりによって
使いわけていた。シンプルだが分かりやすい演出だったように思う。
 歌い手はそれなりに皆、すばらしかったが、特に領主ヘルマンを歌ったバスのクリスティン・ジグムンドソン、ヴォルフラムを
歌ったバリトンの ヨッヘン・クプファーが声も良くすばらしかった。ヴェーヌスを歌ったメゾソプラノのエレナ・ツイトコーワも
官能的な歌声が良かったように思う。
 このオペラはヴェーヌスベルク(官能世界)とヴァルトブルク(精神世界)の間をさまようタンホイザーを描いているが、
どうしても、ワーグナー自身の心の葛藤を描いていたように感じられる。
この作品(1845年)から5~6年後から始まるワーグナー自身の女性遍歴。彼自身の父がユダヤ人
(義父とも実父とも言われている)であるにも関わらず、『音楽におけるユダヤ性』(音楽に対するユダヤ人と
ユダヤ文化の影響力を激しく弾劾した)論文を発表し、反ユダヤ主義者のレッテルを貼られる二面性を考えると
タンホイザーのさまよいはワーグナーの心の葛藤であったのかなと考えてしまいます。


2013年1月22日火曜日

この命誰のもの

自由劇場 2013/1/22  18:30~

劇団四季

四季のストレートプレイです、どんな風になるのか楽しみです。

「一音落とす者は去れ!!」でストレートを演じきれるか?役者さんたちの本当の力量が問われる舞台になりそうですね。

やはり、舞台がスタートした直後は所謂四季言葉で展開したが、流石に役者さんたちも時間と共にこなれてきて、自然だけれど、聞き易いセリフ回しになってきたのは素晴らしい! やはり、基礎がしっかりしている役者さんたちは違う!!
話しのテーマは安楽死、自ら自らの生死を
選べるか? これは宗教によっても、変わるだろうから、答えの無い問だと思うが、
エンディングは素晴らしい!
必見の1本‼


2013年1月19日土曜日

女のほむら

東京芸術劇場 2013/1/19 19:00~

原作:根本順善  脚本・演出:森井睦 舞台美術:仮屋崎省吾

企画・製作:ピープルシアター

小山明子 伊藤友香 コトウロレナ 磯村みどり 白石奈緒美 岡橋和彦 西丸亮 市川博樹 

二宮聡 荒川智大 武藤弐吉 他

初日を前にして夫:大島渚が亡くなった小山明子が名実ともに「女のほむら」を見せた好舞台!!

話は明治の毒婦 高橋でんを題材にしたもの 毒婦としてというよりは、女の性、 夫を支え続けた

女としてのけなげな側面を描き出すことで、まさに「女のほむら」を描いている。

舞台・演出はすっきりしていて見やすい。でんを3人の女性が演じる演出も最初は違和感を感じた

がすぐに馴染んできて、自然に感じられるようになる、お伝を演じる小山、伊藤、コトウロレナはそ

れぞれに、色気と凄みがあり、お伝を良く演じている、伊藤、コトウロレナは前回のアンティゴネー

でも、存在感のある演技をしており、ともに美形であることから、今後楽しみな役者さんである。

演出は一部、長塚圭司の浮標に似た舞台づくりであり、二人の語りをおいて、劇中劇の形式を

とっている。「お伝」の一生。ほむらを客観的に見せていこうという演出なのだろう。

地味であるが、秀作!!

2013年1月18日金曜日

祈りと怪物 〜ウィルビルの三姉妹〜 蜷川Ver

シアターコックーン  2013/1/18 18:30~


企画・製作 Bunkamura Quaras
主なスタッフ 作: ケラリーノ・サンドロビッチ  演出:蜷川幸雄
主なキャスト 森田剛 勝村政信 原田美枝子 中嶋朋子 橋本さとし 伊藤蘭 古谷一行 他
ケラリーノ・サンドロビッチ作の「祈りと怪物」を作者のケラと蜷川幸雄を演出対決するという企画の蜷川版

もともとは観劇予定外で有ったが、年末にKERAさんバージョンを見て、
KERAさんの作品を蜷川さんがどう演出するのか?楽しみで結局観劇してしまいました(^-^)/。
二つの作品を見比べて思うのは、キャスティングの違いがこんなにも、一つの作品を違ったものに見せるのか?と云う点。
勿論、これは演出の問題でも有るので、演出の違いと置き換えてもいいのかもしれないが。
この芝居はそもそも、KERAさんの作品段階から何で「ウィルビルの三姉妹」と云う副題がついているのか?良く分からない作品である(私には) 。それに併せて、誰が主役かもはっきりとは分からない作品であるから演出家の解釈によってキャスティンも大きく変わってくるのだろうとは思う。


 今回のこの演出合戦という観点から、見るとやはり作者のKERAさんの方に分が有ったように思われた。もっともKERAさんは元々「架空年代記」的な作品を得意としているから、最初から予想
された結果ではあるが。
 キーとなるキャスティングとしては、町を支配する、ドン・ガラス・エイモスに勝村政信、動物園の飼育員トビーアスに森田剛、司祭に古谷一行、錬金術師に橋本さとし、召使の妻に伊藤蘭、と言った布陣。皆、それなりにすばらしい演技をしていたが、エイモスを演じた勝村がいつもの演技とは全く異なる味を出していたところは、すばらしかった。ただ、KERA演出では大倉孝二が演じ、キーとなりなっていた錬金術師の連れている道化には、あまり知られていない役者を配し、印象が弱いことと、KERAバージョンでの大倉孝二の個性溢れるパワフルな演技とのギャップでこの芝居をKERAバージョンとは違うものに見せている。 蜷川Verはどちらかと言えば各章毎にぶつぎれな感じで、この芝居の持つ「架空年代記」的面白みを仕切れていない。どちらかと言えば街に流れ着いた若者が最後にエイモスの子であることが判明し、自分と母を捨てた父=エイモスに復讐するといった、復讐劇かのような終わりとなっている。 全体に中途半端な印象を免れ得ない。章立てで前半が淡々と進んでいくため緊張感がない、また、KERA演出では戯曲らしい言葉遊びが随所にあり、見ていて楽しめたが、そういう部分が全くなく、全体に退屈な演出になっている。
所詮、作者ではないのだから、もっと大胆な解釈か、あるいは、戯曲として作り込みをして欲しかった。
KERA演出と同じく、コロスを使って、芝居全体に抑揚と連携を付けようとしているが、和服の日本的な人物と西洋風な人物が混在しており、かなり違和感がある。芝居全体が洋風で進められているにも関わらず、日本風のチンドン屋を出してくるあたりは、インパクトを狙ったんだろうが、全体から浮いているだけで、バランスを崩しているだけのように思われる。
 最後に、捨てた子からの復讐を受け、急激な没落に至り、路頭に迷うエイモスの姿が描かれるが、去っていく舞台の先の壁を空けてしまい、劇場の外を見せたのは、いただけないと思う。シアターコックーンの舞台の後ろが搬入口になっており、そのまま外に繋がっていることを利用したのだろうが、これは一回やってしまえば、もう誰も使えない(ビックリしなくなる)演出であり、禁じて?反則?ではなかろうか?
 演劇とは本来舞台の上で、感動・驚きを作り上げ、現実以上のリアリティを表現するものかと思います、そのエンディングシーンで建物自身が持つ現実のビックリを見せるということ(へーこの劇場こんな造りになってたんだという驚き)は、4時間に渡って演じてきた芝居のもつ力を演出家自身が放棄したことではなかろうかと・・・・。






 





2013年1月15日火曜日

片付けたい女たち

東京芸術劇場 2013/1/15  19:00~


グループる・ばる 協力:二兎社   作・演出:永井 愛
 
岡本麗 松金よね子 田岡美也子

都会に住む若いころから友人だった女性3人が、一人の部屋の掃除をすることと、なったことから、相手の性格・牽いては歩んできた人生について語るという芝居
(感想) 都会に住む女性3人、3人は若いころから友人であったが、突然一人に
連絡が着かなくなり、心配して、部屋を訪ねるところから芝居はスタートする。
3人は現在それぞれに、①おチョビ普通に結婚して、子供が出来て、結婚し孫がいる者 
②かなり年上の男性と結婚し、子供はおらず、夫婦2人で生活する者 ③未婚のキャリア
ウーマンであり、50を回りそれぞれに自分のこれまでの人生を振り返る年齢に達して
きている。 






2013年1月14日月曜日

新春浅草歌舞伎

浅草公会堂  2013/1/14  3:00~

毛谷村   市川海老蔵 片岡愛之助

勧進帳   市川海老蔵 片岡愛之助

17年振りの雪の中を浅草へ、海老蔵の口上で言っていたが、本当に雪で大変な日でした。
年初に、成田屋=市川の睨みを見るとその年は風邪をひかないとのこと。
それでか、海老蔵人気か?雪にも関わらず、ずいぶんとお客が入っていた。

勧進帳では、最後に義経に対して弁慶が膝をついて「自分は主君を守るために、主君を打ち据えるような方法でしか、助けられなかった、情けない」と詫びるシーンがあるが、なかなかすばらしい演技と私がとある人に話したら、「そりゃ~、海老蔵は実生活で経験しているから・・・・」と言われたのが印象てきであった。

いづれにしろ、勘三郎亡き後、歌舞伎界で数少ない「花のある」役者であることは間違いなさそうである。





2013年1月11日金曜日

ジャニーズ・ワールド

帝国劇場  2013/1/11

これでもか これでもか と場面展開してくるショー!!

ひと時も舞台から目を話させないぞ!といったジャニーさんの意気込みがひしひしと伝わってくる。
おもしろいおもしろくないを超越して、これだけの観客を集め続けてこれだけのショーを続けるのだから、これは脅威いがいの何者でもない!! ただ、凄い!!

 

2013年1月9日水曜日

100万回生きたねこ

東京芸術劇場 プレイハウス        2013/1/9


原作:佐野洋子   企画:ホリプロ   

演出・振付・美術:インバル・ピント アブシャロム・ポラック 脚本:糸井幸之助 成井昭人 中屋敷法仁

森山未来 満島ひかり 田口浩正 今井朋彦 石井正則 大貫勇輔 銀粉蝶 藤木孝 他


森山未来の舞台人としての才能が光る芝居!!


佐野洋子作で世界中から愛され続けている絵本「100万回生きたねこ」をイスラエル出身の演出家ユニット、インバル・ピント、アブシャム・ポラックがミュージカル化したもの


ダンス・身のこなし・活舌・歌すべてをかなりのレベルでバランスしているすばらしい役者かと思います。満島ひかりもかなりであると思う、ダンスの場面が少なかったのでダンスについては良く分からないが、こちらもかなりにレベルでバランスしている役者。


( 感 想 ) この芝居(ミュージカル)を見終わっての一番の印象は、「営利を生業とするプロダクションが良くこのようなミュージカルを創ったなあ~」という驚きでした。

確かに知られた役者陣を起用してはいるが、特にセールスを意識したキャストでもなければ、名前で呼べる演出家を使っているわけでも無く、かつ作品も絵本を題材にした地味なものでり、ダンスを多用した実験的な演出にびっくりした。

 話としては、主人公の一匹の猫が輪廻転生を繰り返し、100万回生まれかわっては、様々な飼い主のもとで死んでゆく。その時、100万人の飼い主は猫の死にひどく悲しんでいたが、当の猫はまったく悲しむことはなかった、当の猫は飼い主が嫌いだったのである。ある時、主人公の猫は誰の猫でもない野良猫となっていた。「自分だけの事が好き」な主人公の猫は、100万回生きたことを自慢し、周囲のメス猫たちも何とか友達や恋人になろうと、プレゼントを持ってきたりして周囲に寄ってくる。しかし、唯一 自分に関心を示さなかった一匹の白猫の興味をなんとか引こうとするうちに、いつのまにか主人公の猫は、白猫と恋に落ち、そして、白猫と一緒になる。白猫はたくさん子供を産み、年老いてゆき、やがて猫の隣で動かなくなり、そこで猫は初めて悲しんで涙する。そして主人公の猫も、とうとう白猫の隣で動かなくなり、それ以後生き返ることはなかった、というもの。 
 主人公の猫を演じた森山未来はテレビで見せるイメージとは大きく異なり、演技・ダンス・身のこなし・歌とも秀逸で独壇場である。本当に今後が楽しみな役者さんである、また、女の子を演じた満島ひかりも演技・歌とも才能を感じさせると共にとてもチャーミングな演技であった。

 演出としては、一場面一場面が絵本のなかの話のイメージを演技・歌・ダンスで表現しており、イメージが膨らみ1ページ1ページ絵本を開いていくような感覚に陥り、とても素晴らしかった。子供と大人が一緒に楽しめるミュージカルが制作のコンセプトだったようであるが、子供たちへのアプローチとしては、こういう作り方もあるのかな?という印象を受け、とても新鮮でした。

 芝居全体としては、3人が書いた脚本を一つにまとめた、ということもあるのか、人それぞれ受けたメッセージは異なるのだろうとは思うが、まだ、年が明けたばかりであるが、間違いなく今年印象に残った1本にノミネートされる作品で有ったと思う。


2013年1月8日火曜日

初春大歌舞伎

新橋演舞場

ひらかな盛衰記   松本幸四郎 中村福助 

仮名手本忠臣蔵  松本幸四郎 中村芝雀 中村吉右衛門
七段目

釣女          中村橋之助 坂東三津五郎


逆櫓の松の話  話としてはおもしろい ただ、幸四郎は活舌が悪いのが今ひとつか?
どうしても活舌が悪いと、いろいろと比べてしまい、私の中では評価が下がる。
団十郎の予定であった、大星倉之助も見たかった、いつまで観れるか分からないので。

オセローは団十郎が病気のままで中止となったそうだ、相当ビラをまいていたから、
松竹さんも大きな損害だろうな。 いづれにしろ、団十郎の早期の復帰を願いたい!!


2013年1月6日日曜日

シラノ・ド・ベルジュラック

日生劇場 2013/1/6

鹿賀武史 浜田めぐみ 

鹿賀さん、再演にかける意気込みは凄いです。やさしく歌うときの鹿賀さんの歌は本当に素敵です!!! 男の美学となさけない悲しさが良く出ています。

浜田めぐみさんの独唱も素敵です! 独唱・・・歌い上げるところの少ないミュージカルですが、
浜田さんの独唱はさすが!! 
来場していた、作者も満足そうでした。

二回目を見ました。
鹿賀さんの調子が良かったのか、歌が素晴らしい! 上手くは無いが、味がある。ミュージカルのテーマ、心意気は鹿賀さん自身のテーマで有る様⁈
本当にセリフと歌に気持ちがのっている‼
素晴らしい舞台!! 田代、浜田、彩吹、平方他の東宝ミュージカル陣に拍手を送りたい、営業的には決して楽ではなさそうですが、続けていって欲しい。