新国立劇場 協力:日本ワーグナー協会
指揮:コンスタンティン・トリンクス 演出:ハンス=ペーター・レーマン
クリスティン・ジグムンドソン スティー・アナセン ヨッヘン・クプファー ミーガン・ミラー エレナ・ツイトコーワ 他
ワーグナー生誕200年を飾る 新国立 最初の作品
( 感 想 ) ワーグナー生誕200年ということで、今年はワーグナーが多く上演されるのだろうと思われるが、
あまりオペラに馴染みのない私にも聞きやすく、観ていて飽きない演目で「楽しめるな」というのが、第一印象。
観劇日は初日であったが、入りは7~8割といったところか、タイトルロールの歌い手の変更もあったが、10ヶ月前
から発表しており、特に影響は無さそう。舞台装置は、パンフレット等にある通り、3幕とも極めてシンプル。
ヴェーヌスベルク(官能世界)とヴァルトブルク(精神世界)を同じ舞台装置を使い、いくらかの転換と光のつくりによって
使いわけていた。シンプルだが分かりやすい演出だったように思う。
歌い手はそれなりに皆、すばらしかったが、特に領主ヘルマンを歌ったバスのクリスティン・ジグムンドソン、ヴォルフラムを
歌ったバリトンの ヨッヘン・クプファーが声も良くすばらしかった。ヴェーヌスを歌ったメゾソプラノのエレナ・ツイトコーワも
官能的な歌声が良かったように思う。
このオペラはヴェーヌスベルク(官能世界)とヴァルトブルク(精神世界)の間をさまようタンホイザーを描いているが、
どうしても、ワーグナー自身の心の葛藤を描いていたように感じられる。
この作品(1845年)から5~6年後から始まるワーグナー自身の女性遍歴。彼自身の父がユダヤ人
(義父とも実父とも言われている)であるにも関わらず、『音楽におけるユダヤ性』(音楽に対するユダヤ人と
ユダヤ文化の影響力を激しく弾劾した)論文を発表し、反ユダヤ主義者のレッテルを貼られる二面性を考えると
タンホイザーのさまよいはワーグナーの心の葛藤であったのかなと考えてしまいます。
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