2013年1月9日水曜日

100万回生きたねこ

東京芸術劇場 プレイハウス        2013/1/9


原作:佐野洋子   企画:ホリプロ   

演出・振付・美術:インバル・ピント アブシャロム・ポラック 脚本:糸井幸之助 成井昭人 中屋敷法仁

森山未来 満島ひかり 田口浩正 今井朋彦 石井正則 大貫勇輔 銀粉蝶 藤木孝 他


森山未来の舞台人としての才能が光る芝居!!


佐野洋子作で世界中から愛され続けている絵本「100万回生きたねこ」をイスラエル出身の演出家ユニット、インバル・ピント、アブシャム・ポラックがミュージカル化したもの


ダンス・身のこなし・活舌・歌すべてをかなりのレベルでバランスしているすばらしい役者かと思います。満島ひかりもかなりであると思う、ダンスの場面が少なかったのでダンスについては良く分からないが、こちらもかなりにレベルでバランスしている役者。


( 感 想 ) この芝居(ミュージカル)を見終わっての一番の印象は、「営利を生業とするプロダクションが良くこのようなミュージカルを創ったなあ~」という驚きでした。

確かに知られた役者陣を起用してはいるが、特にセールスを意識したキャストでもなければ、名前で呼べる演出家を使っているわけでも無く、かつ作品も絵本を題材にした地味なものでり、ダンスを多用した実験的な演出にびっくりした。

 話としては、主人公の一匹の猫が輪廻転生を繰り返し、100万回生まれかわっては、様々な飼い主のもとで死んでゆく。その時、100万人の飼い主は猫の死にひどく悲しんでいたが、当の猫はまったく悲しむことはなかった、当の猫は飼い主が嫌いだったのである。ある時、主人公の猫は誰の猫でもない野良猫となっていた。「自分だけの事が好き」な主人公の猫は、100万回生きたことを自慢し、周囲のメス猫たちも何とか友達や恋人になろうと、プレゼントを持ってきたりして周囲に寄ってくる。しかし、唯一 自分に関心を示さなかった一匹の白猫の興味をなんとか引こうとするうちに、いつのまにか主人公の猫は、白猫と恋に落ち、そして、白猫と一緒になる。白猫はたくさん子供を産み、年老いてゆき、やがて猫の隣で動かなくなり、そこで猫は初めて悲しんで涙する。そして主人公の猫も、とうとう白猫の隣で動かなくなり、それ以後生き返ることはなかった、というもの。 
 主人公の猫を演じた森山未来はテレビで見せるイメージとは大きく異なり、演技・ダンス・身のこなし・歌とも秀逸で独壇場である。本当に今後が楽しみな役者さんである、また、女の子を演じた満島ひかりも演技・歌とも才能を感じさせると共にとてもチャーミングな演技であった。

 演出としては、一場面一場面が絵本のなかの話のイメージを演技・歌・ダンスで表現しており、イメージが膨らみ1ページ1ページ絵本を開いていくような感覚に陥り、とても素晴らしかった。子供と大人が一緒に楽しめるミュージカルが制作のコンセプトだったようであるが、子供たちへのアプローチとしては、こういう作り方もあるのかな?という印象を受け、とても新鮮でした。

 芝居全体としては、3人が書いた脚本を一つにまとめた、ということもあるのか、人それぞれ受けたメッセージは異なるのだろうとは思うが、まだ、年が明けたばかりであるが、間違いなく今年印象に残った1本にノミネートされる作品で有ったと思う。


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