新国立劇場 2012/12/27
長塚圭司 松たか子
音が盗まれる話
音のない世界の様子を描いているのであるが、少し辛いか? 感覚的に観ているほうがいいかもしれない。長塚はこういうシンプルな演出をしたら、それなりに素敵である、
松たか子は話さなくてもとてもいい味を出していた、舞台が合ってきた??
2012年12月27日木曜日
2012年12月26日水曜日
祈りと怪物 ウィルヴィルの三姉妹 kera-Ver
シアターコックーン 2012/12/26
主催 Bunkamura キューブ
作・演出 ケラリーノ・サンドロビッチ
生瀬勝久 小出恵介 安倍なつみ 大蔵孝二 マギー 犬山イヌコ 山西惇 西岡徳馬 他
「ケラリーノ・サンドロビッチ作の「祈りと怪物」を作者のケラと蜷川幸雄を演出対決するという企画のケラ版」
(感 想) ケラリーノ・サンドロヴィッチの作・演出による、戯曲を先にケラ本人が演出し、次に蜷川幸雄が 演出するというコラボ企画。ケラさんの新作の戯曲とやはり、二人の演出家が同じ、新作物を演出するという 企画に乗せられてしまい、また、演出の勉強になっていいかな?という言い訳も含めて観劇。 上演時間は、2回の10分の休憩を含み、何と4時間10分という長尺です。しかし、間延びした場面や、 なくもがなの場面などはなく、退屈はしませんでしたし、充分に楽しめるないようでした。 物語は、海と火山に囲まれた小さな島の架空の町・ウィルヴィル。町を支配する、ドン・ガラス・エイモス (生瀬勝久)と彼の3人の娘、長女バララ(久世星佳)、次女テン(緒川たまき)、三女マチケ(安倍なつみ)、 そして、動物園の飼育員トビーアス(小出恵介)ら、エイモス家の支配から“ヒヨリ”と呼ばれ差別を受ける人びと。 また、町に流れ着いた、錬金術師(山西惇)や、密航者たち。それぞれに複雑な事情を抱えた人びとが 絡み合い、話は発展していく……。その独裁者の全盛時代から始まり、町に奇病が蔓延することから、 急激な没落に至り、路頭に迷う独裁者の姿が描かれて終わります。 全体としては、身分差別・殺人をなんとも思わない三姉妹、信仰をもてなくなった神父、錬金術師の 弟子の道化(大倉孝二)のライ麦粉で作った魔法の薬でどんどん欲望を充満させていく住民、 幾ら食べても満腹を感じなくなり、自分の孫の資産を食い尽くし、盗みまで強要する老人、道化の魔法で 死んだ息子の姿が、生きているように見えるようになったが結果見えない息子の子育てに失敗し、 "最後は消してしまう夫婦、これらの登場人物と彼らを取り巻く話はどこか非常に身近な、何かを表現している " 思います。ケラはこの御伽噺を通して現代日本の絶望的状況(ケラはそう感じているのか?)を 描き出そうとしたのだろうと思います。ただ、ウイルヴィルの三姉妹については描き出しが弱く、
何ゆえ、副題として添えてあるのか?疑問として残る内容であった。 役者はそれぞれにすばらしく、芝居に緊張感を与え、この長い芝居を飽きさせず見せていたと思う。 ただ、多くのコロスを使って、全体におどろおどろしい雰囲気を演出して見せたところは、小劇場出身の ケラの演出と言うよりは、蜷川さんぽくって、やはり意識したのかな?と感じさせる部分では有りました。 また、いつもながら、プロジェクション・マッピングいい雰囲気を出していました。
主催 Bunkamura キューブ
作・演出 ケラリーノ・サンドロビッチ
生瀬勝久 小出恵介 安倍なつみ 大蔵孝二 マギー 犬山イヌコ 山西惇 西岡徳馬 他
「ケラリーノ・サンドロビッチ作の「祈りと怪物」を作者のケラと蜷川幸雄を演出対決するという企画のケラ版」
(感 想) ケラリーノ・サンドロヴィッチの作・演出による、戯曲を先にケラ本人が演出し、次に蜷川幸雄が 演出するというコラボ企画。ケラさんの新作の戯曲とやはり、二人の演出家が同じ、新作物を演出するという 企画に乗せられてしまい、また、演出の勉強になっていいかな?という言い訳も含めて観劇。 上演時間は、2回の10分の休憩を含み、何と4時間10分という長尺です。しかし、間延びした場面や、 なくもがなの場面などはなく、退屈はしませんでしたし、充分に楽しめるないようでした。 物語は、海と火山に囲まれた小さな島の架空の町・ウィルヴィル。町を支配する、ドン・ガラス・エイモス (生瀬勝久)と彼の3人の娘、長女バララ(久世星佳)、次女テン(緒川たまき)、三女マチケ(安倍なつみ)、 そして、動物園の飼育員トビーアス(小出恵介)ら、エイモス家の支配から“ヒヨリ”と呼ばれ差別を受ける人びと。 また、町に流れ着いた、錬金術師(山西惇)や、密航者たち。それぞれに複雑な事情を抱えた人びとが 絡み合い、話は発展していく……。その独裁者の全盛時代から始まり、町に奇病が蔓延することから、 急激な没落に至り、路頭に迷う独裁者の姿が描かれて終わります。 全体としては、身分差別・殺人をなんとも思わない三姉妹、信仰をもてなくなった神父、錬金術師の 弟子の道化(大倉孝二)のライ麦粉で作った魔法の薬でどんどん欲望を充満させていく住民、 幾ら食べても満腹を感じなくなり、自分の孫の資産を食い尽くし、盗みまで強要する老人、道化の魔法で 死んだ息子の姿が、生きているように見えるようになったが結果見えない息子の子育てに失敗し、 "最後は消してしまう夫婦、これらの登場人物と彼らを取り巻く話はどこか非常に身近な、何かを表現している " 思います。ケラはこの御伽噺を通して現代日本の絶望的状況(ケラはそう感じているのか?)を 描き出そうとしたのだろうと思います。ただ、ウイルヴィルの三姉妹については描き出しが弱く、
何ゆえ、副題として添えてあるのか?疑問として残る内容であった。 役者はそれぞれにすばらしく、芝居に緊張感を与え、この長い芝居を飽きさせず見せていたと思う。 ただ、多くのコロスを使って、全体におどろおどろしい雰囲気を演出して見せたところは、小劇場出身の ケラの演出と言うよりは、蜷川さんぽくって、やはり意識したのかな?と感じさせる部分では有りました。 また、いつもながら、プロジェクション・マッピングいい雰囲気を出していました。
2012年12月22日土曜日
2012年12月21日金曜日
2012年12月19日水曜日
2012年12月13日木曜日
蜷川幸雄 トロイアの女たち
東京芸術劇場 2012/12/13 19:00
エウリピデス作 蜷川幸雄演出
東京芸術劇場 テルアビブ市立カメリシアター共同制作
白石加代子 和央ようか マフムード・アブ・ジャズイ オーラ・シュール・セレクター ラウダ・スリマン モティ・カッツ
日本人 アラブ人 ユダヤ人の三ヶ国語上演 ギリシャ悲劇を蜷川幸雄演出でとのことで、興味があり観劇したが、個人的には、チケットの値段を加味すると今年最低の芝居か?
内容は有名な「トロイの木馬」の奇襲作戦によってギリシャ軍に滅ぼされたトロイア町に残された女たちの悲惨な末路を描いた作品。
まず出だしの海の中からポセイドンが出てきて、アテナとトロイアを滅ぼした後、ギリシャ人が神を敬わなくなったと嘆くシーンで始まるが、海を模したおお布を舞台一面に張って荒れる海を表現しようとしているが、まるで、田舎芝居のような演出であり、ポセイドン・アテナの二人のやり取りの場面もまるで緊張感もなければ深遠さも感じられない、出だしからテンションが下がる。今日の芝居に対する期待がグーっト下がったが、この予感は正しかったと。
三ヶ国語で芝居を行っているが、ヘカベを演じた白石と日本人・アラブ人・ユダヤ人が同じ言葉を繰り返すため、芝居のテンポが悪く、いつまで経っても芝居の中へのめりこんで行くことが出来ない、テンポも悪く、応酬する言語も異なるため、芝居の中に緊張感が生まれない、それを、白石一人が気を吐いて、芝居を引っ張ろうとするが、白石自身の語りも全体の雰囲気から浮いてしまっており、これまた、ただ、おばちゃんがうるさくしゃべっているだけになってしまっている。また、日本人の役者は花柳・エレオノーラを除いて克舌が悪くもうひとつ聞きずらい、和央の語りにはリアリティがない、本当になにからなにまで残念な芝居でした。
唯一の救いはカッサンドラを演じたオーラ・シュール・セレクター、アンドロマケを演じたラウダ・スリマン、メネラオスを演じたモティ・カッツの演技がよかったことか。
あと、ユダヤ、アラブの役者たちにとって、戦火はまさしく現実であるのだろう、演技の随所にリアリティを感じた。
全体として、蜷川さんにとって挑戦的な演目だったのだろうが、3年間に渡る制作期間の中でどこかで緊張の糸が切れてしまったのかな?と感じられる芝居であった。
紛れもなく、私的には今年のワースト1!!!
エウリピデス作 蜷川幸雄演出
東京芸術劇場 テルアビブ市立カメリシアター共同制作
白石加代子 和央ようか マフムード・アブ・ジャズイ オーラ・シュール・セレクター ラウダ・スリマン モティ・カッツ
日本人 アラブ人 ユダヤ人の三ヶ国語上演 ギリシャ悲劇を蜷川幸雄演出でとのことで、興味があり観劇したが、個人的には、チケットの値段を加味すると今年最低の芝居か?
内容は有名な「トロイの木馬」の奇襲作戦によってギリシャ軍に滅ぼされたトロイア町に残された女たちの悲惨な末路を描いた作品。
まず出だしの海の中からポセイドンが出てきて、アテナとトロイアを滅ぼした後、ギリシャ人が神を敬わなくなったと嘆くシーンで始まるが、海を模したおお布を舞台一面に張って荒れる海を表現しようとしているが、まるで、田舎芝居のような演出であり、ポセイドン・アテナの二人のやり取りの場面もまるで緊張感もなければ深遠さも感じられない、出だしからテンションが下がる。今日の芝居に対する期待がグーっト下がったが、この予感は正しかったと。
三ヶ国語で芝居を行っているが、ヘカベを演じた白石と日本人・アラブ人・ユダヤ人が同じ言葉を繰り返すため、芝居のテンポが悪く、いつまで経っても芝居の中へのめりこんで行くことが出来ない、テンポも悪く、応酬する言語も異なるため、芝居の中に緊張感が生まれない、それを、白石一人が気を吐いて、芝居を引っ張ろうとするが、白石自身の語りも全体の雰囲気から浮いてしまっており、これまた、ただ、おばちゃんがうるさくしゃべっているだけになってしまっている。また、日本人の役者は花柳・エレオノーラを除いて克舌が悪くもうひとつ聞きずらい、和央の語りにはリアリティがない、本当になにからなにまで残念な芝居でした。
唯一の救いはカッサンドラを演じたオーラ・シュール・セレクター、アンドロマケを演じたラウダ・スリマン、メネラオスを演じたモティ・カッツの演技がよかったことか。
あと、ユダヤ、アラブの役者たちにとって、戦火はまさしく現実であるのだろう、演技の随所にリアリティを感じた。
全体として、蜷川さんにとって挑戦的な演目だったのだろうが、3年間に渡る制作期間の中でどこかで緊張の糸が切れてしまったのかな?と感じられる芝居であった。
紛れもなく、私的には今年のワースト1!!!
2012年12月11日火曜日
あつ苦しい兄弟
高円寺 座 2012/12/11
あつい偏
桑原裕子作 青山 勝演出
苦しい偏
中島淳彦 作・演出
村田雄浩 青山勝 塚原大助 他
とてもバランスが良く、面白く、それでいてしっかりと主張してくるとてもいい芝居といった感じ。
全体的に作風は永井 愛さんに良く似ている。特に中島作品は全体のまとまりも良く、見ていて楽しい。
役者ひとりひとりの演技もしっかりしていて見ていて気持ちがいい、中小劇団・中小劇場の手本のような芝居になっている。
あつい偏
桑原裕子作 青山 勝演出
苦しい偏
中島淳彦 作・演出
村田雄浩 青山勝 塚原大助 他
とてもバランスが良く、面白く、それでいてしっかりと主張してくるとてもいい芝居といった感じ。
全体的に作風は永井 愛さんに良く似ている。特に中島作品は全体のまとまりも良く、見ていて楽しい。
役者ひとりひとりの演技もしっかりしていて見ていて気持ちがいい、中小劇団・中小劇場の手本のような芝居になっている。
2012年12月6日木曜日
2012年12月3日月曜日
坂東玉三郎 日本橋
日生劇場 2012/12/3 18:00~
坂東玉三郎特別公演
泉鏡花作 斎藤雅文・坂東玉三郎演出
製作 松竹
坂東玉三郎 高橋恵子 松田悟志 永島敏行 斎藤菜月 江原真二郎 藤堂新二 他
坂東玉三郎が25年ぶりに「日本橋」を自らの演出で演じたもの。
坂東玉三郎特別公演
泉鏡花作 斎藤雅文・坂東玉三郎演出
製作 松竹
坂東玉三郎 高橋恵子 松田悟志 永島敏行 斎藤菜月 江原真二郎 藤堂新二 他
坂東玉三郎が25年ぶりに「日本橋」を自らの演出で演じたもの。
2012年11月28日水曜日
セビリヤの理髪師
新国立劇場 2012/11/28
全体的に特に穴のないOPERAかな?
観ていて、それなりに楽しいし、歌い手も上手い、OPERA見に行こうよ!って人を誘うのにはいい出来かな? ただ、先週の「フィガロの結婚」の出来が良かったので、すこし翳む・・・・
それなりに面白くは作っているのだが、先週のインパクトが強すぎたかな?
全体的に特に穴のないOPERAかな?
観ていて、それなりに楽しいし、歌い手も上手い、OPERA見に行こうよ!って人を誘うのにはいい出来かな? ただ、先週の「フィガロの結婚」の出来が良かったので、すこし翳む・・・・
それなりに面白くは作っているのだが、先週のインパクトが強すぎたかな?
2012年11月23日金曜日
日生劇場 フィガロの結婚
日生劇場 2012/11/23
モーツアルト 新日本フィル 広上 淳一
演出:菅生友
ドラマツルグ:長島確
観ていてとても面白かった。楽しめるオペラに仕上がっていた。この長いオペラを緊張感を損なわず、3時間演じて見せたのはさすが!!
これは、演出家:菅生友の丁寧な作りによるところが大きいと思う。
また、バジリオ・マルテェリーナのアリアが端折らずに、しっかり入っていたのは、すばらしい。そのために少し冗長となったきらいはあるが、この部分はやむなしか? 大山さんのフィガロは流石、フィガロらしさを舞台一杯に出していた。伯爵は萩原・森口ともにすばらしい。そのほかの歌い手も特に穴はない、その中でも代役の守谷さんのケルビーノはすばらしい!! ケルビーノらしさにあふれていた、これからもっと出てくる歌い手さんになるだろう。
モーツアルト 新日本フィル 広上 淳一
演出:菅生友
ドラマツルグ:長島確
観ていてとても面白かった。楽しめるオペラに仕上がっていた。この長いオペラを緊張感を損なわず、3時間演じて見せたのはさすが!!
これは、演出家:菅生友の丁寧な作りによるところが大きいと思う。
また、バジリオ・マルテェリーナのアリアが端折らずに、しっかり入っていたのは、すばらしい。そのために少し冗長となったきらいはあるが、この部分はやむなしか? 大山さんのフィガロは流石、フィガロらしさを舞台一杯に出していた。伯爵は萩原・森口ともにすばらしい。そのほかの歌い手も特に穴はない、その中でも代役の守谷さんのケルビーノはすばらしい!! ケルビーノらしさにあふれていた、これからもっと出てくる歌い手さんになるだろう。
2012年11月22日木曜日
4 four
世田谷シアタートラム 2012/11/22 19:00
主催:世田谷パブリックシアター
作:川村毅 演出:白井晃
池田鉄洋 田山涼成 須賀貴匡 高橋一生 野間口徹
何もない舞台を5人の役者が、その息遣いで満たしきったすばらしい舞台!!
ただ木箱(舞台も客席も)だけでこれだけの緊張感を維持したのは、5人の役者と演出家:白井の腕か?見応えのある芝居に仕上がっています、それにしても「世田谷」はいい芝居をやるな~~
私的には間違いなく今年のベストテンです!!
主催:世田谷パブリックシアター
作:川村毅 演出:白井晃
池田鉄洋 田山涼成 須賀貴匡 高橋一生 野間口徹
何もない舞台を5人の役者が、その息遣いで満たしきったすばらしい舞台!!
ただ木箱(舞台も客席も)だけでこれだけの緊張感を維持したのは、5人の役者と演出家:白井の腕か?見応えのある芝居に仕上がっています、それにしても「世田谷」はいい芝居をやるな~~
私的には間違いなく今年のベストテンです!!
2012年11月19日月曜日
星の息子
高円寺 座 2012/11/19 19:00
主催:燐光群 作・演出 坂手洋二
渡辺美佐子 円城寺あや 中山まり 鴨川てんし 他
あまりに「沖縄」のメッセージが強すぎて、純粋に芝居としての評価が難しい
同じように、「沖縄」発信しても「アンチゴネー」(シアターX)の方が、みんなの心の中にある「アンティゴネー」的有り方を問われて、よりぐっと来る。
この芝居は「政治的」過ぎるように感じる。”星の息子”といったこころのあり方をもっと普遍的に強く感じさせて欲しかった様に思う。
とはいへ、役者は皆、上手いし、熱演であった。 もう少し、演出に洗練されたところが欲しかった・・・かな。
主催:燐光群 作・演出 坂手洋二
渡辺美佐子 円城寺あや 中山まり 鴨川てんし 他
あまりに「沖縄」のメッセージが強すぎて、純粋に芝居としての評価が難しい
同じように、「沖縄」発信しても「アンチゴネー」(シアターX)の方が、みんなの心の中にある「アンティゴネー」的有り方を問われて、よりぐっと来る。
この芝居は「政治的」過ぎるように感じる。”星の息子”といったこころのあり方をもっと普遍的に強く感じさせて欲しかった様に思う。
とはいへ、役者は皆、上手いし、熱演であった。 もう少し、演出に洗練されたところが欲しかった・・・かな。
2012年11月15日木曜日
2012年11月14日水曜日
日の浦姫物語
シアターコックーン 2012/11/14 19:00
作:井上ひさし 演出:蜷川幸雄
こまつ座 ホリプロ
大竹しのぶ 藤原竜也 他
井上ひさしの作品を蜷川幸雄演出、大竹しのぶ主演で公演とのことで興味が有り観劇。
近親相姦というタブーを描きながら、それを、言葉遊びを交えながら、喜劇へ転化するのは、さすが井上流というべきか。言葉遊びを続けつつも、緊迫感を失わないのは、大竹・藤原の力量か? また、娘であり、母であり、妻であり、懺悔を続ける「日の浦」を多彩に演じきっている大竹の演技が素晴らしい。彼女はやはり、主役で自らをこれでもかこれでもかと押し出す役柄ではとても生える。
最後に語り手の2人も同じ運命を告白し、両目をつぶして懺悔するが、周りの人々(ここでは現代人)は石を投げて追い立て責める。最後に周りから許されない説教聖=木場が大きな声で「ヘエー」と発し、舞台を去っていく、ここでは、説教聖=木場がタイトルロールの大竹にも負けない存在感を出すが、これは「近親相姦的日本社会」にたいする痛烈な批判なのだろう。これが正に作者「井上ひさし」の声だったのだろうと思う。
作:井上ひさし 演出:蜷川幸雄
こまつ座 ホリプロ
大竹しのぶ 藤原竜也 他
井上ひさし生誕77フェスティバル2012 第7弾として蜷川幸雄演出で上演されたもの |
井上ひさしの作品を蜷川幸雄演出、大竹しのぶ主演で公演とのことで興味が有り観劇。
狭い社会の中に似たもの同士がひしめき合う日本の社会を「近親相姦的社会」とし、ギリシャ悲劇・グレゴリオ伝説などを取り入れて書いた作者中期の作品。物語は薄汚れた説教聖(木場勝巳)と赤子連れの三味線女(立石涼子)が「日の浦姫物語」なる説教節を語るという、劇中劇の形式。
話の流れとしては、平安時代奥州で藤原成親が子を授かったが妻は無くなり、それと引き換えに美しい双子の兄妹(<稲若>藤原竜也、<日の浦>大竹しのぶ)が生まれる。二人は中睦まじかったが、父成親の無くなった夜、禁忌を犯す、たった一度の交わりで子を宿してしまう。子は神仏に身をゆだねるとのことで、海に流されるが、18年後、若武者姿の魚名(藤原)として娘の前に現れ、姫の窮地を救う。魚名は姫と夫婦となるが、2人は母子だったことが判明する。2人は懺悔し、共に両目をついて別れ別れとなるが、最後は贖罪の奇跡が起こるという話。
話の流れとしては、平安時代奥州で藤原成親が子を授かったが妻は無くなり、それと引き換えに美しい双子の兄妹(<稲若>藤原竜也、<日の浦>大竹しのぶ)が生まれる。二人は中睦まじかったが、父成親の無くなった夜、禁忌を犯す、たった一度の交わりで子を宿してしまう。子は神仏に身をゆだねるとのことで、海に流されるが、18年後、若武者姿の魚名(藤原)として娘の前に現れ、姫の窮地を救う。魚名は姫と夫婦となるが、2人は母子だったことが判明する。2人は懺悔し、共に両目をついて別れ別れとなるが、最後は贖罪の奇跡が起こるという話。
2012年11月11日日曜日
メデア
日生劇場 2012/11/11 14:00
台本:グリルパルツアー 作:アリベルト・ライマン
演出:飯塚LEO
日生劇場 読売交響楽団 二期会
これを見てしまうと、ほかのOPERAがなんだか物足らなくなるような
OPERA、文芸的・・・・お芝居。
全体的にあの狭い空間を緊張感で満たしきっていたのは流石か?
歌い手陣にはまったく隙がない、今、日本で考えられるベストメンバーではと思わせるものがある。歌い手・演出家に拍手を送りたい・・・ブラボー
私的には、今年のベストOPERAをピーター・グライムスと争うな・・・。
台本:グリルパルツアー 作:アリベルト・ライマン
演出:飯塚LEO
日生劇場 読売交響楽団 二期会
これを見てしまうと、ほかのOPERAがなんだか物足らなくなるような
OPERA、文芸的・・・・お芝居。
全体的にあの狭い空間を緊張感で満たしきっていたのは流石か?
歌い手陣にはまったく隙がない、今、日本で考えられるベストメンバーではと思わせるものがある。歌い手・演出家に拍手を送りたい・・・ブラボー
私的には、今年のベストOPERAをピーター・グライムスと争うな・・・。
2012年11月8日木曜日
欺瞞と戯言
本多劇場 2012/11/8 19:00~
作・演出:中津留章仁 企画:トム・プロジェクト
竹下景子 長谷川初範 真山章志 岸田茜 下條アトム
作・演出:中津留章仁 企画:トム・プロジェクト
竹下景子 長谷川初範 真山章志 岸田茜 下條アトム
昭和初期の炭鉱経営を行う、元華族の一族の人間模様を通して、人の平等とは? 品格とは? を問いかける、中津留章仁の書き下ろし新作ドラマ!!
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2012年11月6日火曜日
ひーるべる
高円寺 座 2012/11/6 19:00~
作・演出 松村武
八嶋智人 松村武 藤田記子 若松力 金児憲史 広澤草
なにがなんだか良く分からない芝居! 面白いところもあるが、お笑い的面白さで絶妙なユーモアというほどでもない。疲れていたのもあるが、どちらかと言えば観ているのが苦痛の芝居だった。
ただ、八嶋さんは、テレビで見るのとは違った味を出していて、良かった。芝居の上手さを感じる。
この芝居に文化庁がお金を出すのはいかがなものか? この芝居に対する佐藤さんの意見を聞いてみたい。
作・演出 松村武
八嶋智人 松村武 藤田記子 若松力 金児憲史 広澤草
なにがなんだか良く分からない芝居! 面白いところもあるが、お笑い的面白さで絶妙なユーモアというほどでもない。疲れていたのもあるが、どちらかと言えば観ているのが苦痛の芝居だった。
ただ、八嶋さんは、テレビで見るのとは違った味を出していて、良かった。芝居の上手さを感じる。
この芝居に文化庁がお金を出すのはいかがなものか? この芝居に対する佐藤さんの意見を聞いてみたい。
2012年11月5日月曜日
こんばんは、父さん
世田谷パブリックシアター 2012/11/5 19:00~
二兎社 作・演出 永井 愛
平 幹ニ郎 佐々木蔵之介 溝端淳平
原作 俳優 ともバランスが良く、とてもよく出来た芝居。これだけ有名な俳優を配していながら、喧嘩せず、三人が上手に自己主張しているところが、本当にすばらしい!! 3人と演出家に拍手を送りたい、このバランスは最近めずらしい、最近バランスの悪い芝居が多いなと感じていたので、とても感激です。
高度成長からバブルを経て今に至る日本の典型的な世相の変化を表現しつつ、今の時代の親子関係を焙り出した作品。ウイットに富んでいるが、少し物悲しく、でも、どこか、オプティミスティックなところが、すばらしい、リアリティを感じる。
親と子の微妙な関係を上手く描き出している。
永井愛さんの作本・演出と素敵なバランスを持っていて、観ていて楽しい。
間違いなく、今年の秀作!!!
二兎社 作・演出 永井 愛
平 幹ニ郎 佐々木蔵之介 溝端淳平
原作 俳優 ともバランスが良く、とてもよく出来た芝居。これだけ有名な俳優を配していながら、喧嘩せず、三人が上手に自己主張しているところが、本当にすばらしい!! 3人と演出家に拍手を送りたい、このバランスは最近めずらしい、最近バランスの悪い芝居が多いなと感じていたので、とても感激です。
高度成長からバブルを経て今に至る日本の典型的な世相の変化を表現しつつ、今の時代の親子関係を焙り出した作品。ウイットに富んでいるが、少し物悲しく、でも、どこか、オプティミスティックなところが、すばらしい、リアリティを感じる。
親と子の微妙な関係を上手く描き出している。
永井愛さんの作本・演出と素敵なバランスを持っていて、観ていて楽しい。
間違いなく、今年の秀作!!!
2012年11月2日金曜日
上海異人娼館
東京芸術劇場 2012/11/2 19:00~
原作:寺山修司 演出:金守珍 美術:宇野亜喜良 C:project NYX
毬谷友子 蘭妖子 水嶋カンナ 宮菜穂子 今村美乃 吉田日出子 他
出だしの映像・造形は良かったが、全体的に続かなかった。
原作:寺山修司 演出:金守珍 美術:宇野亜喜良 C:project NYX
毬谷友子 蘭妖子 水嶋カンナ 宮菜穂子 今村美乃 吉田日出子 他
出だしの映像・造形は良かったが、全体的に続かなかった。
全体の緊張感も残念なことに続かず、途中でだれてしまった、緊張感が続けばいい芝居であったと思う。ところどころ、生で歌わず口パクだったのはとても残念!!! 芝居の緊張感を損なう!!
2012年10月31日水曜日
West Side Story
劇団 四季 四季劇場 2012/10/31
阿久根陽一郎 岩崎晋也 笠松はる 増本 藍 加藤敬二 生形理菜 他
歌も踊りも上手いが、芝居としてはへた!! 劇団四季の宿命か?
阿久根はトニーとしては残念!! もっと若々しい役者を使った方がいいのではと思ってしまう。
加籐敬二さんも上手いが、若い子達の爆発するようなエネルギーのぶつかり合いがこの芝居の
妙味だと思うが、キャストの方々が少し歳がいきすぎではないかと思う、私だけか?
同じようなイメージ舞台だが、「ジャニーズ」の「少年達:ジェルブレイク」の方が、歌も踊りも下手だけれど、若いエネルギーを感じる、こちらの方が観ていて面白い。
折角だから、この芝居では、若者の爆発するようなエネルギーのぶつかりを歌・踊り・セリフで表現してほしかった様に思います。
おじさん達が集まって昔、「こんな芝居が有ったよね」といった感じ。残念!
阿久根陽一郎 岩崎晋也 笠松はる 増本 藍 加藤敬二 生形理菜 他
歌も踊りも上手いが、芝居としてはへた!! 劇団四季の宿命か?
阿久根はトニーとしては残念!! もっと若々しい役者を使った方がいいのではと思ってしまう。
加籐敬二さんも上手いが、若い子達の爆発するようなエネルギーのぶつかり合いがこの芝居の
妙味だと思うが、キャストの方々が少し歳がいきすぎではないかと思う、私だけか?
同じようなイメージ舞台だが、「ジャニーズ」の「少年達:ジェルブレイク」の方が、歌も踊りも下手だけれど、若いエネルギーを感じる、こちらの方が観ていて面白い。
折角だから、この芝居では、若者の爆発するようなエネルギーのぶつかりを歌・踊り・セリフで表現してほしかった様に思います。
おじさん達が集まって昔、「こんな芝居が有ったよね」といった感じ。残念!
2012年10月29日月曜日
るつぼ
新国立劇場 小劇場 2012/10/29
すばらしい!!! 間違いなく今年の秀作!!! 私的には今年1!!
12月12日 夕刊で記載された、今年の演劇総評でも取り上げられていた、やはりいいものはいいのか?
魔女狩りを題材としつつ、人の社会に普遍的に存在する、集団心理・こころの弱さ
を見事に描ききっている、もちろんアーサーミラーの作本のすばらしさがベースにあるが、演出 宮田慶子氏の狭い空間の中で無駄をそぎ落とした演出が光っていたように思う。
すばらしい!!! 間違いなく今年の秀作!!! 私的には今年1!!
12月12日 夕刊で記載された、今年の演劇総評でも取り上げられていた、やはりいいものはいいのか?
魔女狩りを題材としつつ、人の社会に普遍的に存在する、集団心理・こころの弱さ
を見事に描ききっている、もちろんアーサーミラーの作本のすばらしさがベースにあるが、演出 宮田慶子氏の狭い空間の中で無駄をそぎ落とした演出が光っていたように思う。
2012年10月27日土曜日
2012年10月25日木曜日
2012年10月18日木曜日
山崎陽子の世界
伝承ホール 10月18日 18:30
演出:山崎陽子
堂ノ脇恭子 上原まり 日向 薫 森田克子 清水玲子 沢里尊子
最後の代行、墓参屋さんの話は実にいい! 現代的で、今の時代にはリアリティがある。
森田克子さんの語りも絶妙ですばらしい!! 前半3作はどれも少し残念、最後の1作とあまりに差がありすぎて不思議なくらいである。
演出:山崎陽子
堂ノ脇恭子 上原まり 日向 薫 森田克子 清水玲子 沢里尊子
最後の代行、墓参屋さんの話は実にいい! 現代的で、今の時代にはリアリティがある。
森田克子さんの語りも絶妙ですばらしい!! 前半3作はどれも少し残念、最後の1作とあまりに差がありすぎて不思議なくらいである。
2012年10月17日水曜日
2012年10月15日月曜日
2012年10月12日金曜日
リチャード3世
新国立劇場 中ホール 2012/10/12(金) 18:30~
岡本健一 中嶋朋子 浦井健治 木下浩之 倉野章子 那須佐代子 森 万紀 他
「2009年全三部作を9時間上演した「ヘンリー6世」三部作の続編 」
新国立劇場主催 芸術監督 宮田慶子 演出:鵜山 仁
岡本健一 中嶋朋子 浦井健治 木下浩之 倉野章子 那須佐代子 森 万紀 他
「2009年全三部作を9時間上演した「ヘンリー6世」三部作の続編 」
( 感 想 ) ヨーク家のエドワード4世が30年に及ぶ薔薇戦争を勝ち抜き、王位についたが、その直後からその弟
リチャード3世が王位を狙い、次々と優位な継承者を破滅させ、ついには王位を得るが、絶頂期は長くは続かず、最後は
反乱軍に破れ壮絶な死を遂げるまでの物語。
「リチャード3世」はシェイクスピアが初期のころ書き、初めて大ヒットさせた作品で「ハムレット」と並び、世界の名優が一度は
演じたいと願う役と言われているらしいが、今回は「岡本健一」がリチャードの(残忍冷酷)(醜悪不遜)(奸智奸才)・・・を
熱演している、すばらしい岡本リチャードに仕上がっている。浦井健治リッチモンド、中嶋朋子マーガレットをはじめ、、
実力派の俳優・女優陣が熱演しており、砂漠の中の円形舞台と言ったような演出と相まって、全体としてすばらしい舞台と
なっている。「ヘンリー6世」から続くこの演者・スタッフ陣に感服する。
舞台全体としても、シェイクスピアの自問自答するような、哲学的でもあり、言葉遊びてきでもあるセリフ回し、悪党リチャード
の生き様、王冠をめぐる戦いとそれに翻弄される「女達」の人生、一瞬にして入れ替わる勝者と敗者、被害者と加害者、
そのはかなさ、無常さ、シェイクスピア演劇を堪能出来る舞台となっていました。間違いなく今年を代表する舞台のひとつ
になるだろうと思われました。
我々も来年はシェイクスピアの「リア」をオペラ上演することとなっていますが、演劇とオペラの違いはありますが、
「これぞシェイクスピア!!」と感じてもらえるような舞台に仕上げていければと思います。
2012年10月6日土曜日
2012年10月3日水曜日
2012年10月2日火曜日
ピーター・グライムス
新国立劇場 オペラパレス 2012/10/2
すばらしいの一言
(感 想 等) ブリテンが後半生を過ごした町オールドバラを思わせる英国東海岸の漁村を舞台に、孤独な漁師ピーター・グライムズが従弟の少年殺害の疑惑を村人たちからかけられ、次第に追い詰められ、最後は死を選んでいく物語。
すばらしいの一言
20世紀イギリス最大の作曲家 ベンジャミン・ブリテンによる本格的なオペラ 英国ロイヤルオペラでも上演されているデッカーのプロダクションによる公演 | ||||||
(感 想 等) ブリテンが後半生を過ごした町オールドバラを思わせる英国東海岸の漁村を舞台に、孤独な漁師ピーター・グライムズが従弟の少年殺害の疑惑を村人たちからかけられ、次第に追い詰められ、最後は死を選んでいく物語。
2012年9月24日月曜日
浮標 ぶい
世田谷パブリックシアター 2012/9/24
葛河思潮社
作 三好十郎
演出 長塚圭史
松雪泰子 田中哲司 佐藤直子
軍靴の足音が次第に高まるなか、洋画家・久我五郎は、千葉の郊外にある海辺の借家で、肺を患う重病の妻・美緒の看病に明け暮れている。
美緒の回復を信じながらも、その病状は悪化の一途をたどるばかり。
さらに、美緒に財産の譲渡を迫る家族、五郎を組織の政治に利用しようとする画壇、経済的不安などといった逆境にさらされ、次第に追いつめられていく五郎。
戦地へ赴く親友との再会に五郎の心は一時和らぐものの、その矢先に美緒の容態は急変する---。
葛河思潮社
作 三好十郎
演出 長塚圭史
松雪泰子 田中哲司 佐藤直子
軍靴の足音が次第に高まるなか、洋画家・久我五郎は、千葉の郊外にある海辺の借家で、肺を患う重病の妻・美緒の看病に明け暮れている。
美緒の回復を信じながらも、その病状は悪化の一途をたどるばかり。
さらに、美緒に財産の譲渡を迫る家族、五郎を組織の政治に利用しようとする画壇、経済的不安などといった逆境にさらされ、次第に追いつめられていく五郎。
戦地へ赴く親友との再会に五郎の心は一時和らぐものの、その矢先に美緒の容態は急変する---。
2012年9月20日木曜日
2012年9月19日水曜日
騒音歌舞伎(ロックミュージカル) 「僕の四谷怪談」
Bunkamura シアターコックーン 2012/9/19(水) 18:30時
シスカンパニー Bunkamura
作・脚本・作詞:橋本治 演出:蜷川幸雄 音楽:鈴木慶一
佐藤隆太 小出恵介 勝地 涼 栗山千明 三浦涼介 谷村美月 尾上松也 麻実れい 勝村政信他
「橋本治が学生時代に「四谷怪談」をベースに書き下ろした幻の戯曲を40年を経て蜷川幸雄が演出したもの 」
(感 想) 「桃尻娘」で一世を風靡した橋本治が「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている
男東大どこへ行く」というコピーで注目を集めていたころ、鶴屋南北の「東海道四谷怪談」をベースに書き
下ろしていた、幻の戯曲。演出は自身も「魔性の夏 四谷怪談より」という一風変わった「四谷怪談」を
描いている蜷川幸雄。 橋本治が「四谷怪談」をどう料理するか?どのようなロックミュージカルに
したてているのか?また、蜷川幸雄がどのような鮮烈なイメージを見せてくれるのか?に興味があって観劇。
全体としては、書かれた「70年代のにおい」がプンプンする、懐かしい芝居に仕上がっている。
役者の語るセリフ・話の展開は正に「橋本治」ここにありといった感じで、10年後に発表される「桃尻娘」の
語りを髣髴させる。ただ、芝居としては、特に強烈なメッセージが伝わってくるというでもなく、ミュージカル
として楽しめるというわけでもなく、有名な俳優・女優がたくさん出てきて、おもちゃ箱をひっくり返したような
芝居という印象。
主演の佐藤隆太はこのメンバーの中では埋もれてしまう、勝地 涼 三浦涼介はなかなかいい味を出し
ていた。勝村政信・谷村美月はお約束通りの演技、栗山千明はがんばっていたという印象。その中では、
歌舞伎の修練をベースにした尾上松也の「お岩」の演技は秀逸! さすがと思わせるものがあった。
麻美れいの「お熊」はもったいない、もっと違う役を演ずるところを見たかった。あと、多くの役者が
老人を演じて意味も無く(私の感じたところによると)舞台を行き来するが何を意図し、どんな効果を
狙ってのものか意味不明。私には役者を無駄遣いしているようにしか感じられなかった。
最近やたら、有名俳優・女優を多数配し、見ている分には楽しいし、おもしろいが終わってみると、
なんだったんだろう?というようなテレビのバラエティのような芝居が結構あるように感じられる。
2012年9月15日土曜日
2012年9月14日金曜日
2012年9月13日木曜日
2012年9月6日木曜日
ミスサイゴン
青山劇場 2012/9/6
ホリプロ
市村正親 新妻聖子
さすが、ロングランミュージカルだけあって、良く出来ている、ただ、米兵と地元の女性の悲恋はアメリカ側からみれば美談かもしれないが、女性側(国)から見れば、婚約不履行の犯罪!!
マダムバタフライ以来続く、この手の題材については、反省も含め、そろそろ終わりにしていきたい。
ホリプロ
市村正親 新妻聖子
さすが、ロングランミュージカルだけあって、良く出来ている、ただ、米兵と地元の女性の悲恋はアメリカ側からみれば美談かもしれないが、女性側(国)から見れば、婚約不履行の犯罪!!
マダムバタフライ以来続く、この手の題材については、反省も含め、そろそろ終わりにしていきたい。
2012年9月4日火曜日
2012年8月31日金曜日
2012年8月24日金曜日
2012年8月23日木曜日
2012年8月22日水曜日
ふくすけ
シアターコックーン 2012/8/22(水) 19:00時
Bunkamura 大人計画 演出 松尾スズキ
松尾スズキ 大竹しのぶ 古田新太 阿部サダヲ 多部未華子
「薬剤被害で奇形となった少年、狂気の主婦、歌舞伎町の風俗嬢等々 社会的なマイノリティが精一杯生きる姿(場合によっては悪意をもった生き様もまた人の姿)を描き出した傑作戯曲。 松尾スズキ 作・演出 1991年初演の再演」
(感 想) 薬剤被害で人の二倍もでっかい頭をして生まれたふくすけ、 歌舞伎町でのし上がった狂気の主婦エスダマス、マスを探し続ける夫のエスダヒデイチ、ヒデイチを助けるホテトル嬢フタバ、やがて神のお告げを受け、宗教ビジネスにのめり込んでいく盲目の女性サカエとその中途半端に悪い夫のコオロギ、そんな人々が破滅に向かって突き進んでいく様を通して、それぞれの心の内を描き 出そうとした作品。
主役のふくすけは阿部サダヲ、マスは大竹しのぶ、マスの夫は古田新太、ホテトル嬢には何と多部未華子、サカエを平岩紙、その夫コオロギをオクイシュージが演じている。
「生まれてこない方が良かった時、人はどう生きるか。 それでも宗教も未来も来世も信じる事が出来ない時、人はどう生きるか!」
この言葉を吐き出す、障害者ふくすけ「阿部サダヲ」が紛れも無くこの芝居の主役なのであろうし、”悪もまた人の生き様なり”が 、この芝居の一つのメッセージなのだろうが、強烈な存在感で舞台を引っ張る「大竹しのぶ」に芝居を乗っ取られてしまっているように、感じられて仕方がない、まるで「大竹」演じるエスダマスの狂気に芝居が乗っ取られてしまっているかのようであった。
多部未華子は 相変わらず、可愛らしく印象深く演じている。芝居の中ではやさしさと残虐なまでの好奇心をもって古田演ずる、エスダヒデイチと絡んでいく。女性の持つ奔放さ、内に秘めた残酷さを演じさせたら、今一番か?今年の新国立の「サロメ」といい、この手の役は、はまり役か?
多部未華子は 相変わらず、可愛らしく印象深く演じている。芝居の中ではやさしさと残虐なまでの好奇心をもって古田演ずる、エスダヒデイチと絡んでいく。女性の持つ奔放さ、内に秘めた残酷さを演じさせたら、今一番か?今年の新国立の「サロメ」といい、この手の役は、はまり役か?
(総 評) 700席を超えるシアターコックーンが全38公演、立ち見席を設けるほどの超満員、有名俳優・女優を配して、興行的には 大成功なのだろう。もちろん、話の展開の面白さ・ギャグを含めて2時間15分、飽きさせない舞台の仕上がりはさすがでした。ただ、前述の通り、個々の役者の自己主張が強すぎて、毒の有るセリフ・エログロな演出まで使いながら、芝居全体としては、メッセージを発しきれなかったように思える。いい役者を使えば、いい芝居が出来るというわけではなさそうである。そもそも、作・演出の松尾スズキ氏は社会の マイノリティ、底辺の人々の心の叫びを描いて支持を得てきた人であるかと思う、それが、シアターコックーンという商業演劇の華々しい、大きな小屋で興行を打つということそのものが、自己矛盾を孕んでいたのではないかと思われてならない。
とてもおもしろく、飽きさせない 良く出来た芝居であるが、作者本来のメッセージを失ってしまった芝居で有ったように思う。
とてもおもしろく、飽きさせない 良く出来た芝居であるが、作者本来のメッセージを失ってしまった芝居で有ったように思う。
2012年8月18日土曜日
2012年8月10日金曜日
2012年8月8日水曜日
2012年8月4日土曜日
2012年8月3日金曜日
2012年7月26日木曜日
2012年7月24日火曜日
アルジャーノに花束を
池袋サンシャインホール 2012/7/24
キャラメルボックス
ハーフチケットなるものを初めて利用してみる。どうせ入らないのなら、半額で売ってしまえとのことかと思うが、癖にならず、そこそこの観客が入っているのはさすが。
全体的にバランスも良く、いい芝居。ダブルキャストでキャスティングによって芝居が異なるとのこと、見てみたい気もするが、時間もお金もないので・・・・・。
キャラメルボックス
ハーフチケットなるものを初めて利用してみる。どうせ入らないのなら、半額で売ってしまえとのことかと思うが、癖にならず、そこそこの観客が入っているのはさすが。
全体的にバランスも良く、いい芝居。ダブルキャストでキャスティングによって芝居が異なるとのこと、見てみたい気もするが、時間もお金もないので・・・・・。
2012年7月13日金曜日
カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)
東京文化会館 大ホール 2012/7/13
カヴァレリア・ルスティカーナ
原作:ジョヴァンニ・ヴェルガ
台本:ジョヴァンニ・タルジョーニ=トッツェッティおよびグィド・メナッシ
作曲:ピエトロ・マスカーニ
カヴァレリア・ルスティカーナ
原作:ジョヴァンニ・ヴェルガ
台本:ジョヴァンニ・タルジョーニ=トッツェッティおよびグィド・メナッシ
作曲:ピエトロ・マスカーニ
指揮: | パオロ・カリニャーニ | ||
演出: | 田尾下 哲 | ||
装置: | 幹子 S.マックアダムス | ||
衣裳: | 小栗菜代子 | ||
照明: | 沢田祐二 | ||
合唱指揮: | 佐藤 宏 | ||
演出助手: | 家田 淳 | ||
舞台監督: | 村田健輔 | ||
公演監督: | 多田羅迪夫 ≪パリアッチ(道化師)≫ 台本・作曲:ルッジェーロ・レオンカヴァッロ |
2012年7月2日月曜日
三谷幸喜 桜の園
パルコ劇場 2012/7/2(月) 19:00時
パルコプロヂュース
翻案・演出 三谷幸喜
三谷幸喜がチェ-ホフの「桜の園」を翻案し、喜劇として演出したもの
(感 想) 日本では滅び行く貴族階級の悲劇、という重いイメージで演じられることの多いこの演目を、チェーホフが「四幕の喜劇」と明記した通り、あくまで喜劇として演出しようと三谷が取り組んだ作品。三谷幸喜がどんなかたちで喜劇「桜の園」を演出するか?、興味が沸き観劇。
チェーホフが喜劇と言ったのは何をさしてか? ①農奴解放令の出された20世紀初めの南ロシアで、特権階級のラネーフスカヤ夫人、その兄ガーエフら時代にとり残されようとしている人物たちが、時代の変化を理解できず、相変わらず、”とんちんかん”な生活を送っているところか? それとも、②人間とはどんな深刻な状況でもどこか、おかしく、哀しいと言った人間が本質的に持っている滑稽さか? はたまた、③吉本新喜劇的なドタバタ劇として「桜の園」描いたのか? それでは、三谷はどんな喜劇として演出しようとしたのだろうか?
①だったのか? 藤木孝の演じたガーエフはなるほど、いい”とんちんかん”ぶりであったが、そのほかの貴族階級の者達が、自らの置かれている状況を分かっていないような”とんちんかん”ぶりを表現し切れて いたかといえば、極めて不十分だったのではないか?
それでは、②か? これは残念ながらラネーフスカヤ夫人を演じた浅丘ルリ子一人が気を吐いていた、彼女の存在感は流石だと思ったが、もし、彼女がいなければこの芝居から、人間の本質的な滑稽さは表現されなかっただろ。
最後に③はどうだっただろうか? これは藤井隆・青木さやかが芸人としてドタバタ感を出していたように思うが、残念ながら、全体からは浮いていたように思う。 三谷は芝居全体を吉本新喜劇にするつもりは無かったのだろう。
こうして全体を見てみると、喜劇としていろいろな要素を詰めようとチャレンジしたところは良く分かるが、チェーホフは流石に手ごわく、消化不良だったか?との印象を免れ得ない。抱腹絶倒の爆笑の渦・どこからともなく沸き起こる笑いのさざ波を期待したむきには残念な結果であったように思う。
2012年6月27日水曜日
薮原検校
世田谷パブリックシアター 2012/6/27(水) 18:30~
演出 栗山民也
主なキャスト:野村萬斎 秋山菜津子 小日向文世 熊谷真美
(感 想 等)
演目としては1973年初演以来、日本で、世界で称賛を浴びてきた傑作ピカレスクであり、今回、狂言師:野村萬斎が杉の市のちの二代目薮原検校をどう演じるか? 2007年に蜷川幸雄が演出したこの人気演目を栗山民也がどう演出するか?が、 見どころかと思われる。 栗山民也氏の演出ということで興味をもって観劇させていただいた。スライディングステージに赤い綱といった極めてシンプルな舞台装置でスライドのさせ方、ちょっとした小物(川を表す青い布等)、明りで作った障子の影等で見る者を納得させる演出はさすがだなと思わせるものでした。また、真っ赤な綱が四方に張り巡らされた、ほぼ真っ暗な舞台に、座頭達の白木杖を打ち鳴らす音が相まって、非常にシャープな印象をうけました。
盲太夫の語りと津軽三味線風に弾かれるギター以外は黒衣によって操られる人形浄瑠璃としての
劇中劇であるということをこの赤い綱に囲まれた、真っ暗な舞台が際立たせている演出だったように思います。
杉の市=二代目薮原検校を演じた野村萬斎はさすがに古典芸能の世界で鍛錬してきただけのことがあり、演技でのリ・体の切れ、膨大な量のセリフを早語りするところなど、さすがと思わせる演技であった。
小日向は七兵衛(杉の市の父親)、塙保己市(劇中名:実在したのは保己一)を演じたが、杉の市と対極にある保己市役では、淡々とかつ軽妙にしかし、一言一言、言い含めるような言葉の重みを感じさせながら演じていたのは野村萬斎演じる”杉の市”と役作りの上でも対極にあり、素晴らしかった。
杉の市の最初の師匠”琴の市”の女房”お市”を演じた秋山菜津子は、なまめかしく、猥雑で、かつ悲しくて、哀れな”お市”を演じ切っていたように思う。
(総 評) 「おれはもっともっとやりていことがあるんだ。この世の中を登れるところまでのぼってみてえのさ。「・・・盲がどこまで勝ち進めるか、賭けてみるんだ。・・・」 ここまでは、杉の市も塙保己市も全く同じ。江戸時代の徹底した差別社会の中で盲人として差別され、盲人の中でも身分階級が存在するがんじがらめの社会の中で、必死に上へ這い 上がろうとした時、自分の武器は「悪事しかない」と思い、悪事を重ねながら、蓄財し、登っていこうとした杉の市と晴眼者に伍して戦うには「品性と学問」しかないと生きる塙保己市を対象的に描かきながら、それでも、お互いが最大の理解者同士であることを、描くことで、この話が持つ悲しさを際立って表現しているように思う。
最後に”杉の市”を「最も残虐な方法で罰せよ!それが彼が望むところである。」と松平定信に進言する言葉に良く出ていると思う。保己市は厳しい進言をしつつも、最後まで、何度も”杉の市”を「同志」と呼び続けるところに、作者の差別社会に対する痛烈な批判があるように思う。
2012年6月24日日曜日
スタジオライフ 天守物語
紀伊国屋ホール 2012/6/24(日) 18:00時
演出:倉田 淳 美術:宇野 亞吉良 曲:今井 寿
主なキャスト:岩崎 大 松本 慎也
(感 想 等)
スタジオライフとは? どういう劇団か見たくて観劇。
舞台装置、演出はごく普通か? 演出・セリフは私の見る限り、原作に忠実(むしろ、原作のまま)特に目新しさを感じるところが無かったのは残念。役者的にはそれなりのメンバーと残念なメンバーが3対7で混在している感じ。
折角、男だけで演じているのに、妖艶な魅力を出すこともなく、劇団内の序列で決まっているような配役にはがっかり、これでは泉鏡花が泣いているかと思われる。
帰り際に、後ろを歩いていた大学生と思しき面々が「ジャニーズに成れなかった役者が、ジャニーズファンに成りきれない人たちに贈る芝居かな・・・・」と言っていたのが、まさに言いえているか?
折角沢山のファンを抱える劇団なのだから、もう少し、演劇性を高めていけば、よりメジャーに成れるのか?なという感想でした。
南部高速鉄道
世田谷シアタートラム 2012/6/24(日) 14:00時
演出:長塚圭史 企画協力:葛河思潮社
主なキャスト:真木よう子 江口のりこ 梶原善 黒沢あすか他
高速道路が原因不明の渋滞に巻き込まれ、そのため隔離された高速道路上で繰り広げられる、人間模様を描いたもの
(感 想 等) ラテンアメリカの作家フリオ・コルサルタルの幻想小説「南部高速道路」をベースに長塚圭史が演出した芝居。長塚圭史の演出と真木よう子の演技が見たくて観劇。
シアタートラムという小屋の問題もあろうが、舞台は客席が東西南北に作られた真ん中に設定されていて、舞台上には基本的に何もない。渋滞に巻き込まれた車は演者がもつ”傘”が表現するというもの。最初の内は、傘=車という舞台装置のあまりの貧困さに違和感を感じながら見ていたが、次第に傘=車に引き込まれていったのは演出家のワザか?
また、現実離れした話であるが、渋滞が1シーズンに及ぶにも関わらず、最後まで登場人物を名前で呼ぶことはなく、常に車の名前「マーチさん・グロリアさん・ミニさん・・・・」、役割名「バスの運転手さん、リーダー」で呼び続けるところに、この話の現実と幻想が交差する独特の世界があるように思う。見る者には非日常がいつの間にか日常として埋没していき、日常の中に非日常を見出していくような奇妙な感覚に引きづり込まれていくように思う。
この作品は、台本がなくワークショップを通して作られたというから、2時間を超すこの芝居を演じ切った役者さん達は大変であったろうと思う。
最近、テレビ・映画で活躍の真木よう子はこの舞台の中では最後まで「ミニさん」と呼ばれているが、彼女一人が常に冷静で、日常・非日常に埋没するこなく、この芝居の中で常に「現実」で有り続けているような気がする。観客である我々は彼女を通して、現実と幻想の交差点を感じられるような気がします。演技としては、この独特の芝居の中で、上述のような役回りをうまくこなし、存在感を発揮していたように思う。
(総 評) 見終わった後に、何とも不思議な肌触りが残る作品である。本来原作の意図するところは、良く分からないが、非日常が日常に埋没していくさまが、滑稽で有ると同時に背筋が寒くなるようなぞっとした感覚を覚える作品である。
2012年6月20日水曜日
2012年6月15日金曜日
サロメ 新国立劇場 宮本亜門演出
本日は新国立劇場で「サロメ」
オスカーワイルドの傑作を平野啓一郎が新訳、宮本亜門が演出したもの。
出演は
多部未華子 成河 麻実れい 奥田瑛二
従来官能的に描かれることの多い「サロメ」ですが、今回はサロメの持つ純粋無垢、無邪気さに焦点を合わせて描いたとのことである。しかし、サロメという狂気の存在からおどろおどろしいまでの官能性を取り除いてしまうと、そこに残されたものは、よくある・・・そう、一般的な女性像ではないのか? まさしく女性がもつ、自己愛・身勝手さ・処女さえがもつ娼婦性・・・。
オスカーワイルドは同姓愛好者であったという、このことと無縁でないような気がする、そういう意味では、このたびの平野新訳は的を得ているのかもしれない。また、今回の演出家自身も本質的に女性がお好きでないのかもしれない。
今回サロメを演じた多部はこういうサロメを上手く演じていたように思う。女王役の麻実れいも存在感があり、舞台を盛り上げていた。王役の奥田が少し残念だった様に感じられた。
オスカーワイルドの傑作を平野啓一郎が新訳、宮本亜門が演出したもの。
出演は
多部未華子 成河 麻実れい 奥田瑛二
従来官能的に描かれることの多い「サロメ」ですが、今回はサロメの持つ純粋無垢、無邪気さに焦点を合わせて描いたとのことである。しかし、サロメという狂気の存在からおどろおどろしいまでの官能性を取り除いてしまうと、そこに残されたものは、よくある・・・そう、一般的な女性像ではないのか? まさしく女性がもつ、自己愛・身勝手さ・処女さえがもつ娼婦性・・・。
オスカーワイルドは同姓愛好者であったという、このことと無縁でないような気がする、そういう意味では、このたびの平野新訳は的を得ているのかもしれない。また、今回の演出家自身も本質的に女性がお好きでないのかもしれない。
今回サロメを演じた多部はこういうサロメを上手く演じていたように思う。女王役の麻実れいも存在感があり、舞台を盛り上げていた。王役の奥田が少し残念だった様に感じられた。
2012年6月12日火曜日
2012年6月8日金曜日
京劇 西遊記
日経ホール 2012 6月8日 19時
(感 想 ) 今回の公演は北京京劇院によるもの。北京京劇院は中国最大規模を誇り、多くの名優を育ててきた歴史のある劇団。国家重点京劇院団にも認定された、中国京劇界の中心的存在。日本人には梅蘭芳(メイランファン)の劇団と言った方がなじみ深いか? 日中国交正常化40周年という記念の年を飾るに相応しい公演かと思われる。
演目は西遊記「孫悟空大鬧天宮(だいとうてんきゅう)」、西遊記というと日本では孫悟空が三蔵法師のお伴をして天竺へ 旅する道中の冒険を思い浮かべがちですが、これはそのずっと前、
孫悟空が本拠地花果山で「サルの王様」を名乗り、より強くなるための方法を求めて子ザルたちを手下に従え大暴れしていた頃の物語です。西遊記の中では人気の演目。
(公演について) 内容は、孫悟空が花果山で子ザルたちを従え「サルの王様」を名乗っていたころ、孫悟空に如意棒を奪われたと龍王が天の玉帝に訴え出たところ、孫悟空に役職を与えて
おとなしくさせようという太白金星の策が採られ、馬屋番、桃園番と順番に役職が与えられるが、 そのたびたび、大した役職でないことから、孫悟空が怒り出し、大暴れを するというもの。 最後は、食べると不老長寿が約束される仙桃や不老不死の金丹を食べつくして大暴れし、玉帝の
派遣した、李天王も撃破し、手がつけられなくなってしまうというもの。
前半はまだ、サルのころの面影も残っていることから、表情づくりやセリフ回しを得意とする道化役の李丹(リーダン)が後半は派手な立ち回りが多いことから、立ち回りを得意とする、ジャン・レイが演じている。今回の公演では二人の役者が演じ分けることで、役の特徴を際立たせていたようである。
(総 評) 京劇を観劇したのは、今回が初めてでしたので、とても新鮮でした。字幕つきでは有りますが、分かりやすい話で有ることもあり、見ていると何となく話の展開が分かり、エキサイティングな動き・踊りと音楽に引き込まれて行きました。ただ、なんと言っても、第一印象は「なんて歌舞伎とにているんだろう・・・・」というものでした。
香川照之が歌舞伎挑戦前に、この北京京劇院で京劇体験を行ったことが頷けます。
歌舞伎役者の立ち回り・見栄を切るところ、それに対するお客さんの「よっ! ○○や!」という掛け声・・・京劇も全く同じように役者のポーズ(見栄)、お客の掛け声(今回日本公演は少なかったが)とあまりに似ているのでびっくりしました。
全体的には前半部分のリー・ダンの演技については、京劇らしい、立ち振る舞い・表情づくりを楽しむ部分なのだろうが、席の位置の問題もあろうが、なかなか掴むことが出来なかった。後半のジャン・レイの演技については、声に伸びが有り・体のキレもよく、立ち回りシーンは楽しめた。
ただ、全般的に芸・演出が古臭く感じられ、昔からの芸を同じように続けてきているように感じられてならないし、今の時代ならキレのある体の動きであれば、「シルクドソレイユ」でも「K-バレエ」でも、もっと躍動感を楽しめるように思われる。
歌舞伎も概ね同じころ、庶民の芸能から発達し、現在も日々進化し上演されていることを考えると、京劇の世界は止まっているのかな?といった感想をもってしまいます。私見ですが、このことは、「京劇」が近代、歴史に翻弄されてきたことと無縁ではないように思えます、文化大革命による弾圧がなければ、京劇もより舞台芸術として洗練され・花開いていたように感じます。やはり、文化は健全で平和な社会があってこそ花開いていくものなのかなと思います。
「京劇」鑑賞後、何となく胸に残ったわだかまりは、これだったのかなと思います。
2012年5月24日木曜日
2012年5月23日水曜日
2012年5月17日木曜日
2012年5月12日土曜日
2012年5月9日水曜日
2012年5月5日土曜日
2012年4月24日火曜日
2012年4月16日月曜日
2012年4月8日日曜日
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